損益

世界のホテル業界は、安定した成長水準の時代に確固たる地位を築いています。つまり、より大きな利益を達成するためには、ホテルオーナーや事業者はあらゆる収益源を模索すると同時に、経費管理にも取り組む必要があります。

その起点となるのが、売上高と利益率の両方を理解し、両者の循環的な関係性を把握したうえでの、総合的な業績に基づく戦略です。幸いなことに、35年間にわたる過去の収益データは、より多くの財務上の利益を生み出そうとするホテル経営者に役立つ明らかなトレンドを示しています。

人件費は通常、ホテルにとって最も大きな支出の一つです。新型コロナウイルス感染症の流行のピーク時には、多くの労働者が他業種に転職したり、一時解雇や自宅待機後にホスピタリティ業界に戻らなかったりと、人手不足の問題がますます複雑になりました。ホテル経営者にとって、平常を取り戻した現在をうまく乗り切るうえで、収益性と必要な人件費との間で適切なバランスを取ることが、これまで以上に重要になっています。参考になるベンチマーキング指標の一つに、LPAR（販売可能客室一室あたり人件費）があります。

GOPPAR とは？

ホスピタリティ業界の主な収益指標の一つである販売可能客室一室あたり営業総利益（GOPPAR）は、ホテルの収入と支出の関係を測定するための指標です。一般的に、GOPPAR に対する理解を深めれば深めるほど、収入を利益に変えることができるようになります。そのため、GOPPAR を他の主な損益指標とともに、一貫してベンチマーキングすることが重要になってきます。 

業績の評価方法を問わず、ホテル業界の最終的な目標は常に最大の利益を上げることです。業界ベンチマーキングの他のすべての要素と同様に、その目標の達成度を測定するために特別に設計されたデータセットやレポートが存在します。「STRレポートを正しく理解する」（2022年）シリーズの最終稿となる本書では、業界で一般的にP&L（損益計算書）と呼ばれる損益データを深く掘り下げ、収益最大化と効率的な運営実現に向けた具体的な指標の活用方法について考察します。  

ホテルの収益性を理解する上で鍵となるのが、P&L計算書です。この書類は、その名の通り、特定の期間における利益または損失の概要を示します。もし、あなたがP&Lがホテルで果たす役割についてご存知ない 、 あるいは実際の 収益性の事例 について知りたい場合は、過去の記事で取り上げています。

しかし、あなたが損益計算書（P&L計算書）の分析に進み、ホテルの収益性に関するインサイトを得る準備ができているなら、下の記事がその読み方を案内いたします。さらに、よくある落とし穴を指摘し、役立つヒントを随所で提供していきます。

ホテルのオーナー企業や運営会社はビジネスをあらゆる角度から測定すると、成功を獲得する上で優位に立つことができます。そのため、ボトムラインのインサイトを頻繁に取得せずに、包括的なベンチマーキングエクスペリエンスを考慮することはできません。

CoStarとBenchmark機能を使用するホテル経営者は、ホテルのライフサイクル全体を網羅するにはデータセットと分析が必要であり、月間の収益性を算出する機能は投資や運営戦略を組み、遂行する上で欠かせないインテリジェンスを提供することを理解しています。その結果、運営効率が向上し、ホテルの収益性を最大化することができます。

指標

主な指標は損益報告書全体のおよそ150のデータポイントから生成されており、販売可能一室あたり（PAR）、稼動一室あたり（POR）、合計収益の割合で出されています。以下は、主な販売可能一室あたり（PAR）の指標です。

ホテルの営業費用を追跡することは、宿泊施設の財務実績を理解し、費用を適切に管理するために非常に重要であり、それが利益率向上のための重要な要素の一つとなります。総営業利益は、総営業収益から総営業費用を差し引いて算出されるため、費用を最小限に抑え、収益を最大化することが 明らかなアプローチとなりますしてください。

ホテルの運営コストとは、ホテルの営業を維持するために必要な費用のことであり、具体的には飲食費用、手数料、光熱費などが含まれます。これらの費用は、客室部門、営業・マーケティング部門、宿泊施設運営部門など、すべての営業部門に含まれています。

P&L計算書からホテルの収益性を読み解く方法

ホテルの財務実績を把握するには、貸借対照表と、損益計算書 より一般的にはP&L計算書）の徹底的な分析が必要となります。 STRとの会話においては、

多くのホテル経営者にとって、損益計算書の読み解きは難しい場合がありますが、これは全体の収益性に影響を与える要因を知るための極めて重要なステップです。弊社のホテルP&L事例は、この作業が少しでも容易になるよう設計されています。なぜなら、収入と経費の関係、そして各部門が特定の期間にどのような業績を上げているかを理解すれば、より効果的に戦略を立てることができるからです。 

前回の投稿では、ホテルのパフォーマンスを測定する場合に、RevPAR が果たす重要な役割について解説しました。RevPAR は今も売上実績を測るうえでのゴールドスタンダードですが、宿泊施設や市場全体の健全性を分析する場合は、他の指標の方がより詳細な分析情報を提供できます。そうした重要な指標の一つが、販売可能客室一室あたりの総売上高（TRevPAR）です。

TRevPAR は、ホテルの販売可能客室一室あたりで生み出される総売上高を評価する指標で、次の計算式を使って算出されます。

ホテルの収益管理の分野に詳しい方なら、その戦略サイクルが主に4つの主要な段階で構成されていることをご存知でしょう、分析、特定、発展、モニタリングです。また、あなたはSTARレポートや dSTAR プラットフォームについてもご存知かもしれません。これらは、先の各段階を進めるために必要なデータインテリジェンスを提供し、あなたの施設のパフォーマンスを継続的に測定することを可能にします。

しかし、収益管理のライフサイクルにおける各段階に、どれくらいの時間を割くべきでしょうか？また、どのチームメンバーを関与させるべきでしょうか？このプロセスをご案内するために、私たちは細分化しました。